開所を祝いテープカットする姉川会長(左から3人目)ら関係者。背後にあるのは多様なEVと急速充電器

◆トラブルの未然防止に貢献

 チャデモ協議会(姉川尚史会長)は5日、電気自動車(EV)の車両と、多様な急速充電器の接続性を検証する「EV―急速充電器マッチングテストセンター」(三重県伊勢市)の運用を開始した。オープン規格であるCHAdeMO方式は、EV、充電器とも様々なメーカーが多様な機種を提供する。センターは常時、多様な充電器で試験できる環境を整備。組み合わせによる「相性問題」を未然に防ぎ、EVの普及につなげる。同日、姉川会長をはじめ経済産業省、三重県の幹部らが出席し開所式を実施した。

 テストセンターは規格認証機関のULジャパン本社敷地内に開設した。東光高岳、ニチコン、ダイヘン、新電元工業、ハセテック、日産自動車、欧州のABB、台湾のデルタ電子といった市場シェアの高い各社の急速充電器が設置されている。今後JFEテクノスなどの充電器も順次加わり、計16台になる予定だ。

 CHAdeMO規格は、多様なメーカーによりEV、充電器ハードが提供される。今後、市販されるEV車種は大幅な増加が見込まれる。充電器との組み合わせによっては、細かい仕様の違いで充電に支障が生じる、あるいは故障につながるケースも想定される。

 テストセンターはトラブルを未然に防ぎ、EVの普及拡大に貢献することを目的に開設した。これまではメーカーが個別に車両を持ち込むなどしていたが、1カ所でまとめて試験を行えるようになり、利便性が大幅に高まる。

 姉川会長は開所式で同規格について、詳細仕様を文書に取りまとめて公開しているが、出力向上などに伴う改訂を重ねたため、特に以前のバージョンに対する互換性確保について技術的ハードルが上がっていると指摘。実機でテストできる環境の意義を強調した。また、競争を展開する自動車メーカーがユーザーに寄り添い、開示に抵抗感があるノウハウを共有して、センターでの試験内容・手順を取りまとめたことに謝意を示した。

 経済産業省製造産業局自動車課自動車戦略企画室の田邉国治室長は「EVと充電器の信頼性を担保する基礎ができた」と取り組みを高く評価した。両氏のほか地元行政の幹部、ULジャパンの山上英彦社長らによるテープカットも行い、EV普及の国内基盤の設置を祝った。

電気新聞2024年3月6日