関電トンネルのトロリーバスが11月30日、54年4カ月の運行の歴史に幕を下ろした。最終便は黒部ダム駅を午後4時35分に発車した
関電トンネルのトロリーバスが11月30日、54年4カ月の運行の歴史に幕を下ろした。最終便は黒部ダム駅を午後4時35分に発車した

 関西電力黒部ダムへの長野県側からの玄関口である関電トンネルのトロリーバスが30日、54年4カ月の運行の歴史に幕を下ろした。最終便は黒部ダム駅を午後4時35分に発車。約300人が扇沢駅までの約15分間のラストランを楽しみつつ、引退を惜しんだ。来春からは電気バスが走行する。

 関電トンネルは、黒部川第四発電所(くろよん)工事の中でも破砕帯突破の難工事で知られ、今年は開通60周年。トロリーバスは1964年8月に営業を開始し「トロバス」の愛称で親しまれた。営業開始以来、無事故を続け乗車人数は累計6162万人を超えた。

 当日は黒部ダム駅で地元関係者も招き、ラストラン出発式を開催。最後の乗車となる運転手には花束が贈られ、感激した様子だった。同社黒四管理事務所の村田直樹所長は、安全最優先の重要性を指摘するとともに、「おもてなしと感謝の気持ちで対応してきたが、電気バスに変わっても継続していきたい」との決意を示した。最終便に乗車した男性の一人は「寂しい気持ちがある」と悲しげだったが、電気バスは「快適になると聞くのでうれしい」と話していた。

電気新聞2018年12月3日