電力広域的運営推進機関(広域機関)は5日夜に開いた有識者会合で、東地域(北海道~東北~東京間)の計画策定プロセスを巡り、全体の系統構成案を大枠で固めた。3エリアを接続する200万キロワットの高圧直流送電(HVDC)を日本海側で構成する案を軸に具体化を進める。比較検討した他の案より連系容量の拡大が見込めると判断した。

 同日の広域系統整備委員会(委員長=加藤政一・東京電機大学教授)で議論した。大筋で了承されたのは、北海道~東北~東京間の既設系統をバイパスさせる形で、HVDCを構成する案。連系容量は北海道~東北間で120万キロワットから320万キロワット、東北~東京間で1028万キロワットから1228万キロワットへの拡大が期待できる。

 前回会合での指摘を踏まえて、広域機関では北海道~東北間をHVDCでつなぎ、東北~東京間に第三連系線を新設する案と比較。ただ、この案だと東北エリア内の系統安定度に制約が生じるため、東京に送電できる容量の増加分が60万キロワット程度にとどまると評価した。

 エリアごとの交直連系地点も大筋で了承された。電源の動向や既設系統の構成などを踏まえ、北海道は道央の後志エリア、東北は秋田エリアに設定。東京については日本海側の50万V送電線である南新潟幹線、新新潟幹線のいずれかへの連系を前提とする。

 会合ではこの他、海底直流送電の実現に向けたケーブル防護の方法を整理した。全長800キロメートルのうち、損傷リスクの低い22%の区間は、ケーブルに鉄線を二重に巻き付ける手法を採用する。一方、全体の32%に当たる部分は海底調査の結果、現段階では堆積層の厚さが不確かなため、ケーブルの埋設と砕石をかぶせる方法の2つを組み合わせた案とした。

 長距離の砕石防護は国内で前例がなく、海外事例を参考に具体化を図る。2月中に開く次回会合で、工事費や工期に関する議論に入る予定だ。

電気新聞2024年2月7日