◆北海道、東京、中国が顕著/広域機関想定

 データセンター(DC)や半導体工場の新増設に伴う最大電力の増加分が、全国で2033年度に500万キロワットを超える見通しであることが、電力広域的運営推進機関(広域機関)がまとめた需要想定で明らかになった。23~33年度の最大電力の平均増加率は北海道、東京、中国の3エリアが特に高く、0.6~0.7%に達すると予想した。

 一般送配電事業者10社から提出を受けたエリア単位の需要想定を集約した。DC・半導体工場の新増設による需要増を個別に想定に織り込むのは今回が初めて。広域機関は「生成AIやクラウドといった過去にない新規の活用目的が明確になるとともに、申込件数の増加が続いている」として、蓋然性の高い計画を反映した。

 具体的には大都市圏のDCの場合、申し込み契約容量のうち、引き込み位置などの詳細が固まっていたり、工事費負担金の入金が済んだりして、一定程度計画が進捗しているものを対象とした。

 増加分は最大電力が24年度で48万キロワット、33年度で537万キロワットと想定。需要電力量は産業用で24年度に37億キロワット時、33年度に407億キロワット時を見込む。

 最大電力の23~33年度の平均増加率は北海道(冬季)と東京が0.6%、中国が0.7%と予想した。産業用の需要電力量は、関西と九州を合わせた5エリアでDC・半導体工場の影響を個別加算分として織り込んだことなどで、同期間の平均増加率は1.4%と想定した。

 24年度の全国10エリア計の最大電力(8月、送電端)は23年度実績比0.8%増の1億5856万8千キロワット。節電・省エネルギーは続くものの、経済成長とDC・半導体工場の需要増で拡大する見込みだ。24年度の全国10エリア計の需要電力量(使用端)は、8056億200万キロワット時で23年度推定実績比0.4%増と予測した。

 全国の23~33年度の平均増減率を前年度想定(22~32年度)と比較すると、最大電力が0.1%減から0.3%増、需要電力量が0.2%減から0.4%増と増加傾向が強まっている。

 エリア別の最大電力(北海道、東北、北陸は冬季)の平均増減率は、四国と九州がマイナスを想定。最も減少するのが四国の0.6%減で、最も増加するのが中国の0.7%増だった。需要電力量は中部、北陸、四国がマイナスを想定する。最も減少するのが四国の0.6%減、最も増加するのが北海道の0.9%増だった。

 需要電力量の23~33年度の平均増減率を産業用以外の需要区分別にみると、業務用は25年度以降、経済成長などの増加影響と人口減少、節電、省エネなどの影響が拮抗(きっこう)し横ばいを予想。家庭用は物価高騰に伴う節電の定着などが加わり減少が続き平均増減率は0.5%減とした。

電気新聞2024年2月9日