九州電力と三井物産は26日、家庭用太陽光発電設備(PV)を所有する顧客向けに、蓄電池を使って太陽光電力の自家消費を促し、電気料金コストを削減させるサービスの実証実験を来年春に開始すると発表した。2019年11月以降のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)買い取り期間終了を見据え、これまで電力会社に売電していた余剰電力の一部を蓄電池に充電。夜間などの自家消費分に回すことで、電力料金低減を図る。将来的なVPP(仮想発電所)活用を見据え、複数の蓄電池を遠隔制御する蓄電池群制御システムの実験も併せて実施する。

 年度内の実験開始を目指し準備を進めており、期間は1年程度を見込む。九州電力総合研究所(福岡市)と福岡市内の複数顧客宅に蓄電池を設置。蓄電池容量や充放電のパターンなど最適な運用方法と、その際の電気料金削減効果を検証する。蓄電池制御には、三井物産などが出資している米国Sunverge社が開発した「Dynamic VPP Platform」を採用。将来的には大規模、多数の蓄電池制御による需給調整市場や電力系統安定化などへの活用を目指す。

 九州電力によると、FIT期間が終了し買い取り義務の対象外となるPVは、九州エリアで19年度に約10万件(約40万キロワット)、23年度までに100万キロワットを超えるという。同社は期間終了後も買い取りを継続する方針を示しているが、「価格は、現在より下がる見込み。(FIT期間が終了した顧客に)様々な選択肢を示すという意味でも、今回のサービス検討を決めた」(九州電力)と話している。

 実証実験後に、事業化の可否を判断する。事業形態や蓄電池のリース、買い取りなどビジネスモデルについては事業化決定後に検討する。同日会見した九州電力企画・需給本部イノベーショングループの高橋卓二課長は、「経済性に加え、非常電源としての活用に関心があるのかなど総合的な事業性を確認したい」と述べた。

電気新聞2018年11月27日