◆上限規制の対応反映

 国土交通省は16日、公共工事の予定価格積算に用いる2024年度以降の「公共工事設計労務単価」について、全国全職種平均で前年度比5.9%増の2万3600円に改定すると発表した。12年連続の増加で、引き上げ幅は過去10年で最高という。建設業で4月に適用される時間外労働上限規制の対応に必要な費用を反映している。

 公共工事設計労務単価は、建設労働者が受け取るべき賃金を基に設定。所定内労働時間8時間の日額換算値として算出し、実情に合わせて毎年改定している。

 4月から適用される新単価は、昨年10月に行った公共事業労務費調査の結果を基に改定。47都道府県・全51職種別にそれぞれ算出しており、電工職種では東京都の3万100円が最高額となっている。

 斉藤鉄夫国交相は同日の閣議後会見で、「労務単価の引き上げが建設業界の賃上げに結び付き、好循環を実現できるよう各社に強く働き掛けていきたい」と強調した。不当なダンピング禁止などを定める建設業法の改正案を今国会に提出することにも触れ、「担い手確保と持続可能な建設業の実現に全力を尽くしていきたい」と述べた。

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 日本建設業連合会は16日、公共工事の労務単価が引き上げられることについて、宮本洋一会長名でコメントを発表した。

 まずコメントは「12年連続で引き上げを行っていただくことに深く感謝する」とし「引き上げは最近の労働市場の実勢価格の適切・迅速な反映と、日本経済再生を目指す岸田内閣の姿勢を踏まえたもの」と評価した。

 その上で建設業界は「この引き上げを、技能者のさらなる賃金引き上げにつなげていかねばならない」と強調した。

電気新聞2024年2月19日