電気事業連合会は16日、プルトニウムの早期利用に向け検討を進めていた原子力事業者間の海外保有プルトニウム交換について、15日付で交換数量や時期に関する契約が締結されたと発表した。プルサーマルを実施中の九州電力と四国電力が英国で保有するプルトニウムと、東京電力ホールディングス(HD)などプルサーマル未実施の5事業者がフランスで保有する分を交換した上で、MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料に加工。九州電力玄海原子力発電所3号機と四国電力伊方発電所3号機のプルサーマルに活用する。

 東日本大震災以降の原子力発電所停止などの影響で、現在、プルサーマルを実施しているのは関西と九州、四国の計4プラントにとどまる。九州と四国は既にMOX燃料加工工場が稼働しているフランスに保有していたプルトニウムを使い切っており、玄海3で今月、通常のウラン燃料のみで発電を再開。伊方3は今年7月以降にプルサーマルを一時停止する予定。

 このため各社はプルトニウムの着実な消費を目的とした海外保有分の交換について、2022年に協議を開始。15日に締結した契約で、九州と四国の英国保有分計1.7トン(核分裂性プルトニウム量)と、東電HDなど5者のフランス保有分計1.7トン(同)を交換。これを加工したMOX燃料で、玄海3は27、28年度、伊方3は29年度以降にプルサーマルを実施するとした。

 また、九州がフランスに保有する、Jパワー(電源開発)への譲渡予定分0.1トン(同)も九州が自社で消費することに合意。東電HDと中部電力が、その代替分をJパワーに譲渡することとした。

 同日、電力9社と日本原子力発電、Jパワーはプルトニウム利用計画を改定したと発表した。23年度末のプルトニウム保有量は前年度末から0.7トン減の合計40.1トン(全プルトニウム量)となる見通し。また今後3年間(24~26年度)のプルトニウム利用について、関電高浜発電所3、4号機で26年度に0.7トン(同)を利用するとした。その他のプラントで新たなプルトニウム利用は計画されていない。その後は、27年度に全社合計で2.1トン(同)、28年度に同1.4トン(同)利用する見通しとなっている。

電気新聞2024年2月19日