◆劇的な排出減を評価

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)が運営する科学技術誌「MITテクノロジーレビュー」は、2024年の世界を変える10大技術にヒートポンプを選定した。同誌は、24年を「ヒートポンプの時代に突入した」と表現。化石燃料を使う機器から再生可能エネルギー由来の電力を使ったヒートポンプ機器に切り替えることで、二酸化炭素(CO2)排出量を劇的に削減できると強調している。

 10大技術は、同誌が毎年選定している。24年は、エネルギー分野から超高効率太陽電池や地熱増産システムも10大技術の一つに選ばれている。

 同誌は既に確立した技術であるヒートポンプが「全ての兆候で、全盛期を迎えつつあることを示している」と指摘。欧州でロシア産化石燃料からの脱却に伴う動きで需要が急増している点や、日本、中国といったアジアが技術開発をリードしている点などを紹介した。技術開発により高温加熱が可能になりつつあるとして、製造業の脱炭素にも大いに貢献できるとした。

 ヒートポンプは「30年に世界全体のCO2排出量を5億トン削減できる可能性がある」とも強調。そのために設置台数を、今後10年で世界における建物の暖房需要の約2割に相当する約6億台まで増やす必要があると説明した。

 課題には、増加する需要に対応できる製造能力の確保、十分な強靱性を確保した送電網の整備などを挙げた。

電気新聞2024年1月26日