経済産業省は、電力設備のレジリエンス(強靱性)強化の一環として、設備事故で周波数が変動しても風力発電や太陽光発電がすぐに電力系統から切り離されないよう、条件の見直しを検討する。北海道エリア全域の大規模停電(ブラックアウト)に至った過程では、地震直後の火力電源脱落による周波数低下によって、運転中の風力が系統からすぐに切り離され、供給力として役に立たなかった。再生可能エネルギーを主力電源にするための必須要件として、周波数変動への耐性強化を位置付ける。

 風力や太陽光は、周波数の変動時に設備が壊れないように、専用装置で系統から切り離す周波数の値(解列整定値)を定めている。経産省はこの値を見直す案を、きょう5日に開く電力レジリエンスワーキンググループ(WG)の会合で示す見込みだ。

 会合では、北海道エリア相当の過酷な設備事故が他のエリアで発生しても、ブラックアウトが起こらないかを検証した結果も示される見通し。各エリアの電力設備構成は、将来にわたり変化することから、経産省はブラックアウトのリスクの有無を定期的に確認するプロセスを設けることも提案するもようだ。

 今年は豪雨、台風、地震といった自然災害が頻発した。その際の停電復旧対応の教訓を踏まえ、会合では復旧早期化への取り組みや、国民への情報発信の在り方も議論される見通し。一連のレジリエンス強化策は緊急対策と中期対策に仕分けし、11月中旬にも成案を示す。

電気新聞2018年11月5日