九州電力、イーレックス、日産自動車は26日、EV(電気自動車)を活用し、顧客の最大電力を削減するV2B(EVからビルへの給電)サービスの実証を来年1月から開始すると発表した。法人顧客の事業所に日産リーフと充放電器を設置し、電力使用のピーク時にEVから建物側へ放電することでデマンド(最大電力需要)を削減する。実証では、デマンド削減による電気の基本料金やガソリン車からEVへの転換による燃料費など、総合的なコスト削減効果を検証する。実証期間は1年程度を見込んでおり、その後、事業化の可否を判断する。

 実証は関東、九州の合計3カ所で実施予定。1カ所につき、EVと充放電器を各1台設置する。九州電力によると、現在市販されている充放電器の容量分、6キロワット程度のデマンド削減効果が見込めるという。デマンド削減と合わせて、災害時などにEVの非常用電源としての有効性も検証する。事業化後の運営形態については、「共同事業会社の立ち上げなどを含め、今後検討する」としている。

 九州電力は「V2Hではキロワット時(使用量)をカットするが、今回のV2Bはキロワット(デマンド)のカットによるコスト削減を狙う」と話す。電力使用のピーク時に、高い確率でEVが停車している事業者であれば大きなメリットが生まれるとしており、「EVをコントロールして狙い通りピークカットができれば、十分事業性が成り立つ」と説明する。

 また、将来的にV2Bサービス利用者が増加した際には、「EVを分散型エネルギーリソースとして、VPPなどへの活用も検討していく」(九州電力)との方針を示している。

電気新聞2018年10月29日