GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けて、大きく動いた一年だった。5月にGX推進法、GX脱炭素電源法が成立。電力安定供給と脱炭素の両立を目指すことが政策の柱に位置付けられ、安全性の確保を大前提とする原子力発電の活用が明確化された。原子力については、使用済み原子燃料の扱いや核融合の研究開発でも進展がみられた。8月には、国際原子力機関(IAEA)のお墨付きを得て、東京電力福島第一原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出を開始。着実な廃炉に向けて大きく前進した。

<エネ分野で着実な成果>
[写真で見る2023年]エネ分野で着実な成果 G7(先進7カ国)首脳会合が5月に広島市で開かれ、軍縮や核不拡散、クリーンエネルギー経済への移行などを盛り込んだ共同声明を採択した。気候、エネルギー分野も主要議題として議論。原子力発電を利用する姿勢を強く打ち出した。写真は議長国として会見する岸田文雄首相(5月21日、広島市の平和記念公園)

<GX実現に向けて>
[写真で見る2023年]GX実現に向けて 政府は2月、「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定。5月には成長志向型カーボンプライシング(排出量取引、炭素に対する賦課金)導入などを規定したGX推進法、原子力発電の運転期間延長や再エネ導入拡大につながる送電系統整備などを盛り込んだGX脱炭素電源法が成立した。写真はGX脱炭素電源法が可決、成立した参院本会議(5月31日、国会)

<海洋放出「国際基準に適合」>
[写真で見る2023年]海洋放出「国際基準に適合」 国際原子力機関(IAEA)は7月4日、福島第一原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出について「国際的な安全基準に適合している」と結論づける包括報告書を発表した。同日、IAEAのラファエル・グロッシー事務局長(左)が岸田文雄首相に包括報告書を手渡した(首相官邸=官邸ホームページより)

<姉崎火力リプレース完了>
[写真で見る2023年]姉崎火力リプレース完了 JERAがリプレース工事を進めていたLNGコンバインドサイクルの姉崎火力発電所新1~3号機(千葉県市原市、各64万6900キロワット)が、8月までに営業運転を開始した。先進的な発電所の運転・保守を実現する「デジタル発電所」(DPP)のショーケースにする

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