大崎クールジェンのガス炉で石炭とブラックペレットをガス化し、カーボンネガティブでの発電を目指す

 Jパワー(電源開発)と中国電力が折半出資する大崎クールジェン(広島県大崎上島町、菊池哲夫社長)は、10月から二酸化炭素(CO2)分離・回収型酸素吹き石炭ガス化複合発電(IGCC)実証試験設備(16万6千キロワット)でバイオマス混合ガス化を始めた。混合比率50%(熱量ベース)でCO2を90%分離・回収した場合、発電時に排出されるはずだったCO2の40%を大気中から実質的に削減できるという。

 大崎クールジェンは2012~22年度に広島県大崎上島町で、CO2分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実現を目指す実証試験「大崎クールジェンプロジェクト」を3段階で進めてきた。

 第1段階では、酸素吹きIGCC実証試験設備を新設して、発電性能などを検証。石炭をガス化炉で蒸し焼きにすることで、一酸化炭素と水素を主成分とする燃料ガスを生成し、ガスタービンと蒸気タービンで効率良く複合発電できることを確認した。

 第2段階では、酸素吹きIGCC実証試験設備にCO2分離・回収設備を設置した。燃料ガスからCO2を純度99%以上、回収効率90%以上で分離・回収。燃料ガスの水素濃度を高めた上で発電性能を調べた。

 第3段階では、さらに出力600キロワットの燃料電池2台を設置した。燃料電池はガス化炉で生成した水素を使って発電。ガスタービン、蒸気タービン、燃料電池によるトリプル複合発電を行い、CO2分離・回収型IGFCを実現した。

 今回のの実証は、大崎クールジェンプロジェクトに続く位置付けとなる。第2段階までのCO2分離・回収型酸素吹きIGCC実証試験設備に、バイオマス燃料を混ぜてガス化した場合の発電性能を検証する。バイオマス燃料には木質ペレットを半炭化した「ブラックペレット」を使用。ブラックペレットを石炭と混ぜてガス化した場合に発電設備へ与える影響などを評価する。

 24年度からはバイオマス混合ガス化を本格化させて、混合比率50%を目指す。CO2分離・回収型IGCCプラントでバイオマス混合ガス化を行い、ネガティブエミッションを図るのは世界初の試み。大崎クールジェンの白石治取締役・技術部長は「経験や実績を重ねて最適な運転方法などを探っていきたい」と意気込みを語っている。

電気新聞2023年12月8日