2018年度第1四半期(4~6月)の電力需給実績がこのほど出そろった。1時間当たりの需要電力量に対する太陽光発電量の比率は西日本で最大5割を超え、前年同期の最大を10ポイント近く上回った。各一般送配電事業者は火力の出力抑制や揚水のポンプアップで太陽光を受け入れ、出力抑制を回避した。

 太陽光比率が全国で最大だったのは5月5日正午~午後1時の44.6%。前年同期の最大を6.6ポイント上回った。太陽光発電量は3625万4200キロワット時と、大規模火力40基分に上った。太陽光の約6割は西日本で発電される。この時間帯の太陽光比率は52.7%と、前年同期を9.3ポイント上回り、初めて5割を超えた。水力、地熱、バイオマス、風力を加えた再生可能エネルギー比率は70.5%に達した。このため火力発電量は1437万5千キロワット時と、冬場のピーク時の約2割に抑制された。さらに、揚水のポンプアップによって太陽光の余剰電力を663万9千キロワット時消費した。

 最も厳しい需給運用を強いられているのは九州だ。太陽光比率は4月29日正午~午後1時に81.5%を記録。5月3~5日の正午前後にも8割を超えた。太陽光発電量は650万キロワット時前後に達し、火力発電量はピーク時の約2割、揚水動力はほぼフル活用だった。

 これまで出力抑制は回避されてきたが、限界は近い。電力広域的運営推進機関(広域機関)は10月1日、九州電力から要請を受け、余剰電力を他エリアに送電して太陽光の受け入れ余地を増やす「長周期広域周波数調整」を初めて実施した。

 順番からいえば太陽光の前にバイオマスの出力が抑制されるが、九州のバイオマス発電量は1時間当たり2万~3万キロワット時しかない。九州電力は今秋にも、太陽光・風力の出力を抑制する可能性があるとしている。

電気新聞2018年10月9日

<参照>
九州電力、出力制御を本土で初実施(10月15日)