旭硝子財団(石村和彦理事長)は7日、環境分野の有識者らを対象に毎年実施している「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」の2018年分の調査結果を発表した。回答者の危機意識を時刻で表した「環境危機時計」は昨年より14分進んで9時47分を指し、1992年の調査開始から最も針が進んだ。世代別では20代と30代の危機時刻がどの世代よりも進み、10時台に突入した。これまでの調査では、年齢が上がるにつれ環境意識が高まる傾向にあったが、若い世代にも浸透していることを示す結果となった。

 日本は9時31分で、昨年よりも20分進んだ。危機時計を地域別にみると、アジア、北米、西欧、アフリカ、中東で針が進み、中米、南米、東欧、旧ソ連、オセアニアで後退。危機時刻を記入する上で念頭に置く項目は「気候変動」が最も多かった。

 環境危機時計は、0時1分から3時までを「ほとんど不安はない」、6時までを「少し不安」、9時までを「かなり不安」と表現し、9時以降の時間帯は「極めて不安」と危機感が高まっている状態を示す。

 アンケートの自由記述では「原子力に背を向けて気候変動問題を解決できるのか」「パリ協定から離脱宣言した米国にその政策を考え直すよう忠告することが日本政府の役割」といった意見が寄せられた。調査は学識経験者や企業、メディアなどを対象とし、今年は139カ国・1866人から回答を得た。

電気新聞2018年9月13日