2020年3月末に予定される小売規制料金の経過措置撤廃に向け、電力・ガス取引監視等委員会が検討を本格化させる。下部組織の専門会合を立ち上げ、近く議論に着手する[編注:下部の関連記事参照]。電力小売り全面自由化後の競争の進展や消費者の選択行動の状況を見極めた上で、撤廃の基準を設けたり、経過措置を維持すべき区域などを検証する。経済産業省・資源エネルギー庁とも連携し、3段階料金制度の在り方なども探る。

 20日の電力・ガス監視委の会合で設置を正式に決める。月内にも初会合を開く予定で、19年中をめどに一定の結論が示される見通しだ。

 経過措置料金は「電気の使用者の利益を保護する必要性が特に高いと認められる」と、経産相が指定した供給区域のみ存続することが、改正電気事業法で規定された。

 新設の専門会合では需要家のスイッチング(供給者変更)の動向などを踏まえ、十分な競争圧力が働いているか、競争に持続性があるかを検証。それらを踏まえて、経過措置の維持が妥当な供給区域を具体的に検討する。解除後も不当な値上げが行われていないかどうか、事後監視の仕組みもテーマになりそうだ。

 一方、需要家への周知も課題の一つ。消費者庁が5月に行った調査によると、経過措置そのものの認知度は依然として低いのが実態だ。広報活動の進め方のほか、撤廃に向けた大手電力の実務上の手続きなども検討される見込み。

 検討に当たっては、エネ庁とも協力する。農事用・公衆街路灯向けなど経過措置料金メニューのほか、関連する燃料費調整制度、常時バックアップなどの検証は現行と同様、エネ庁が担う。

 一方、3段階料金制度や最終保障供給制度といった経過措置撤廃基準の考え方に影響する制度については、両者で連携を図りつつ対応する。

 電力・ガス監視委は昨年10月、「競争的な電力・ガス市場に関する研究会」を設置。8月には経過措置撤廃に向けた論点などを盛り込んだ中間整理をまとめた。電力・ガス監視委では、これに基づき、海外事例も参考にしながら議論を進めていく方針だ。

電気新聞2018年9月20日

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