経済産業省・資源エネルギー庁は12日の有識者会合で、事業用太陽光発電のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)について、早ければ2022年度にも買い取り価格を現在の半額にする方針を示した。住宅用は25年度以降、卸市場並みの11円程度に抑える。方策の一つとして現在出力2千キロワット以上のメガソーラーに限定している入札制の区分を撤廃。事業用全てを対象とすることも視野に検討を深める。

 同日の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」(委員長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)でエネ庁が提示した。

 事業用太陽光は現行では30年までに発電コストを「1キロワット時当たり7円」にする目標を掲げる。これを25~27年度に前倒しして達成させる。このため、認定から運転開始まで3年程度のリードタイムを考慮し、22~24年度には認定する平均買い取り価格を、18年度に比べ約半額の同8円50銭に引き下げる。

 住宅用も蓄電池と組み合わせるなどして自家消費モデルを促しつつ、FITからの自立化を図る。事業用と同様、25~27年度に卸市場価格(同11円)まで抑制する。風力については、現行の30年の発電コスト目標「同8~9円」を維持する。

 委員からは「ほとんど卒FITともいえる野心的な水準」(松村敏弘委員)と、自立化の観点から事務局案を支持する声が大半を占めた。

 一方、コスト削減の手段として入札制の活用も進める。事業用太陽光は原則全てを入札の対象とする方向で検討する。ただ、10~50キロワットの出力帯は規模が大きく、全てを対象に入れると、「行政コストや一般送配電事業者の負担が膨大になる」(新川麻委員)恐れがあるため、影響を見極める。今後、事務局案はFIT買い取り価格などを議論する調達価格等算定委員会に報告され、最終的に決定される。

 4日に公表された第2回の太陽光入札は上限価格を非公開で実施した。募集容量25万キロワットに対し、入札件数は9件・19万7千キロワット。だが、いずれの案件も開札後に公表された上限価格(1キロワット当たり15円50銭)を上回り、落札はゼロに終わっている。

電気新聞2018年9月13日