「次世代の地域や社会を展望するエネルギー環境教育」をテーマに行われた全国大会
「次世代の地域や社会を展望するエネルギー環境教育」をテーマに行われた全国大会

 日本エネルギー環境教育学会(会長=澁澤文隆・帝京大学教職大学院客員教授)の第13回全国大会が8~10日にかけて、山形大学小白川キャンパス(山形市)などで開催された。「次世代の地域や社会を展望するエネルギー環境教育」をテーマに、教育や産業界関係者がそれぞれの取り組みを紹介。エネルギーや環境を教育に取り込む上での課題や方向性を巡って議論を展開した。

 大会2日目の9日のパネル討論会には、エネルギーや環境教育に熱心に取り組む山形県内の教育関係者らが登壇した。山形大学付属小学校の元木徹教諭は、低学年や中学年、高学年ごとに目的を定め、6年間を通じたカリキュラムを構築していると紹介。6年生には集大成として「自らが考えるベストミックス」を発表する機会がある。こうした取り組みを通じて、「一段高い意思決定ができる力が身に付いている」と説明した。

 山形県立村山産業高校の庄司洋一教諭は、生徒が地域イベントや小中学校に出向き、講師役を務めている取り組みを披露。「学力のボトムアップが図られただけでなく、生徒たちのコミュニケーション力や表現力の伸びが大きいと感じられた」と話した。

 基調講演では経済産業省・資源エネルギー庁の担当者が第5次エネルギー基本計画を題材に、エネ政策の方向性を解説。「エネルギー源には長短があり、互いに補完し合う関係にある。その点を次世代を担う人材が深く考えることが重要だ」と述べ、教育関係者の理解と協力を求めた。

 これに対し、会場の参加者からは「意欲ある教員の下で学んでも、卒業後に関心が薄れて(成果が)拡散してしまう」と問題提起する声が上がった。エネ庁の担当者は「行政としてどう支援できるかについて、知恵を絞りたい」などと応じていた。

 大会期間中に開かれた定時総会では、2017年度事業報告や18年度事業計画などの議案が承認され、来年度の大会を高知市で開くことが報告された。

電気新聞2018年8月13日