NTPに関する署名式
NTPに関する署名式の様子

 関西電力は17日、ミャンマーでの「ディードック水力発電プロジェクト」について、同国電力エネルギー省(MOEE)から事業推進に関する通知(NTP)を、16日付で受け取ったと発表した。オーストリアの水力機器メーカー「アンドリッツ・ハイドロ」などと共同出資でプロジェクト会社を設立し、建設工事や運転・保守を行う計画。2019年に着工し、22年の運転開始を目指している。日本の電力会社が、ミャンマーで水力開発を行うのは初めて。

 同国北部の都市・マンダレーの南東約30キロメートルのディードック地点(ミンゲ川流域)に、同国の水力では中規模となる「ディードック水力発電所」(流れ込み式、5万6千キロワット)を建設する。プロジェクト会社は、両社とMOEE、同国のゼネコン「シュエタン・グループ」の4者での設立を予定している。

 NTPは事実上、独占開発権の付与に当たる。16日には同国の首都・ネピドーでNTPに関する署名式が開かれ、MOEEのウィン・カイン大臣や関電の中島宏常務執行役員・国際事業本部長らが出席し、NPTを受け取る署名を行った。プロジェクト会社は、19年の着工までに設立する。発電電力は長期間、ミャンマー発電公社へ売電する予定。各者の出資比率や、売電期間などは今後協議する。

 今回のプロジェクトは、アンドリッツ・ハイドロが14年にMOEEと、開発に関する基本合意を交わしたことでスタート。関電は17年4月にアンドリッツ・ハイドロと協業覚書を締結した。

 経済成長が続くミャンマーでは、電力需要の増加が見込まれ、政府は供給力確保を急いでいる。関電は収益確保の多角化や、蓄積してきた技術力の活用などが期待できることから、参画を決めた。

 今後、プロジェクトの実施が正式に決まると、関電の海外水力事業としては5件目になる。関電は中期経営計画で、国際事業を重点施策の一つに位置付けており、25年度の海外での持ち分発電容量として1千万~1200万キロワットを想定し、300億円の利益確保を目指している。

電気新聞2018年8月20日