経済産業省は、J―クレジット制度運営委員会(委員長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)を1日に開き、二酸化炭素(CO2)排出削減・吸収量の算定方法の改定について審議した。蓄電池の利用が今後拡大することを見据え、家庭での自家消費量のうち蓄電池を経由した分を算出するための既定値を導入することなどを了承。事務局からは、クレジット制度の登録状況も報告された。

 家庭に太陽光発電設備と蓄電池を導入する場合、自家消費量のうち蓄電池を経由した電力量を実測することが難しい。現行の規定では、そうした家庭をプロジェクトの対象外としたり、発電量の全量を蓄電池経由とし、充放電ロスを加味して過度に保守的に見積もらざるを得ず、蓄電池導入の効果を適切に評価できなかった。

 このため、事務局では自家消費量のうち蓄電池を経由した電力量の割合(経由率)を算定するための既定値を設けた上で、自家消費量の内訳を算出可能にすることを提起。委員から了承された。この他、会合では省エネルギー住宅の評価を一部省略したり、バイオマスに関する規定についても見直すことが支持された。

 事務局はJ―クレジット制度の登録状況も報告。プロジェクト登録件数は累計731件になった。2020年度までにCO2換算で約712万トン、30年度までに約971万トンの認証を見込む。

 「J―クレジット」は温室効果ガスの排出削減量や吸収量を国がクレジットとして認証する制度。認証されたクレジットは売買可能で、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボン・オフセットといった様々な用途に活用できる。

電気新聞2018年8月3日