関電とアクセンチュアが設立した新会社「K4 Digital」のロゴ
関電とアクセンチュアが設立した新会社「K4 Digital」のロゴ

 関西電力は1日、デジタル技術を活用した関電グループの業務改善や新規事業の創出を進めるため、アクセンチュアと共同で新会社「K4 Digital(ケイフォーデジタル)」を同日付で設立したと発表した。デジタル技術に特化した会社設立は、大手電力で初めて。当面は関電社内やグループ会社から要請されるデジタル化による業務効率化に取り組むが、将来的には外販も視野に入れる。

 資本金は9千万円で、関電が80%、アクセンチュアが20%を出資。社長は関電IT戦略室デジタライゼーション推進グループの篠原伸生チーフマネジャーが就いた。発足時の社員数は42人で、今後増員も検討する。

 関電はデジタル技術の活用を加速するため、岩根茂樹社長を委員長とする「デジタルトランスフォーメーション戦略委員会」を6月に設置。幹部らが参加して議論を重ね、その成果の一つとして新会社の設立に至った。

 関電が保有する電力設備に関する運用ノウハウや蓄積データに、アクセンチュアのデジタル技術を掛け合わせて新たなサービスを提供。具体的には、設備のリアルタイムの遠隔監視や点検・巡視の自動化、人工知能(AI)を活用した顧客への自動対応などを想定している。

 新会社の背景として、デジタル人材の育成が第一に挙げられる。IT戦略室の河田靖弘・IT企画部長は、アクセンチュアのノウハウを吸収し、「将来的には(関電の)社員で全てやれるようにしていく」と意気込む。

 新会社の設立は、関電からアクセンチュアに呼び掛けて実現。デジタル技術の対応はIT戦略室が担っていたが、社内から200件以上の要請が集まっており、「社員だけでこなしていくのは無理がある」(河田部長)ため、関連業務を切り出して取り組みを加速する。

 1日に会見した篠原社長は、「関電グループをデジタル技術のリーディングカンパニーにしていきたい」と意欲を示した。

電気新聞2018年8月2日