福岡県香春町に設置した系統用蓄電池

 九州電力、NTTアノードエナジー(東京都港区、岸本照之社長)、三菱商事は19日、福岡県香春町に設置した系統用蓄電池の運用を本格的に始めたと発表した。蓄電池は容量4200キロワット時、出力1400キロワット。太陽光の発電量が増える昼間に電気をため、再生可能エネルギーの出力制御量を抑える。日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場などの電力市場で収益を得る事業モデルについても実際に蓄電池を運用して検証する。

 3社は昨年6月から、系統用蓄電池を活用して再エネの出力制御量を抑える事業の検討を始めた。NTTアノードエナジーが国の補助を受けて、GSユアサ製のリチウムイオン電池を設置し、今年4~6月の試験運用では47回で累計26万キロワット時の充放電を実施した。

 3社は蓄電池にためた電気をスポット市場や需給調整市場で取引する事業について検証を開始した。2025年度以降は容量市場への供給力供出も予定する。また、3社が九州エリア内で運用する太陽光発電の余剰発電量と、蓄電池にためる電力量を一致させる取り組みも試行している。3社は将来の事業拡大を視野に、検証を進めていく。

 EPC(設計・調達・建設)はエクシオグループが請け負った。パワーコンディショナーは明電舎、エネルギー管理システム(EMS)は住友電気工業が供給した。

電気新聞2023年7月20日