経済産業省は、二酸化炭素(CO2)分離回収技術を手掛ける日本企業を対象に、開発状況やターゲット市場の調査を進めている。CO2の分離回収技術は、火力発電所や化学プラント、廃棄物処理場向けなど適用施設によって特性が異なる。技術動向を整理し、国際競争力強化に向けたポイントを把握する。得られた情報を生かしてグリーンイノベーション基金事業における研究の加速にもつなげる。調査は5月から始めており、早ければ7月にも結果をまとめる。

 CO2は排出設備によって、排出時の圧力や濃度が異なる。分離回収技術を保有する事業者は、それぞれのターゲットを設けて研究している。経産省がその動向を調査して、研究の方向性や課題をまとめる。

 その上で、各事業者の強みを把握して他国技術との差別化を促す。グリーンイノベーション基金事業では、JERAや千代田化工建設、東邦ガスなどがCO2の分離回収技術の開発に取り組んでいる。

 JERAや千代田化工建設のプロジェクトでは、天然ガス火力発電所におけるCO2分離回収技術を研究している。分離、回収にかかるコストやエネルギーの最適化策などを探る。分離技術の要素技術も開発し、実証する考え。

 国際的なシンクタンクのグローバルCCSインスティテュートによると、CO2分離回収の商用プロジェクトは2022年までに世界で197件が動いているという。22年単年で61件が新規で追加されており、世界的な脱炭素化の流れや各国政府の補助金を追い風に、さらなる拡大が見込まれる。

 日本としても脱炭素技術市場で優位に立つためにも、CO2分離回収技術を磨き、技術の国際標準化策も検討する。

電気新聞2023年7月11日