作業者目線の映像。ビデオ通話しながら管理者が丸いポインターで作業箇所を指示している
作業者目線の映像。ビデオ通話しながら管理者が丸いポインターで作業箇所を指示している

 四国電力グループで映像制作や動画配信、ホームページ・アプリ制作を手掛ける「よんでんメディアワークス(高松市、中川政彦社長)」は、AR(拡張現実)対応スマートグラスなどを用いる遠隔作業支援システム「Jiglass(ジグラス)」を開発した。熟練労働者の不足に悩む建設・設備関連業界を主な対象として今年度から営業活動を本格化。経験の少ない作業者をAR技術でサポートし、スムーズな作業を実現できる点を強みに拡販したい考えだ。

 新システム向けに、同社は2011年7月にリリースしたクラウド型動画管理・配信プラットフォームサービス「Media―Gather」を応用したスマートグラスなどのマルチデバイスで動作する新たなアプリを開発。このアプリとAR対応スマートグラスなどで新システムを構成している。

 現場作業者がスマートグラスをかけると、内蔵カメラが捉える目線映像を管理者側の端末にリアルタイムで配信。管理者はその映像を見ながら、ビデオ通話で作業者に指示を出せる。作業者の視界にポインターやテキストメッセージを表示させて作業をガイドしたり、管理者側の端末にあるマニュアル動画や手順書などを配信・表示させたりすることも可能だ。

 スマートグラスを使うことで作業者は両手を自由に使える利点がある。軽微な作業であればスマートグラスではなくスマートフォンやタブレット端末でアプリを動作させることも可能だ。また、単に現場映像を遠隔で共有したいとの用途であれば、ヘルメットなどに取り付けるモバイルカメラや、作業現場全体を捉えられる360度パノラマカメラを活用することもできる。

 昨年11月にシステムの開発を終え、今年1月からサービスの提供を開始した。4月からは製品サイトに分かりやすいデモ映像をアップロードするとともに、具体的な営業活動にも乗り出した。

 モバイルカメラを用いたシステムは、空調設備工事の現場で既に採用実績がある。同社の礒野倫章取締役・開発部長は「現場で熟練労働者が減少する中、若者や高齢者に効率的に作業を教えることができる」と指摘。「人手不足の解消に効果がある」と利点を強調し、今後の拡販に期待を示した。

電気新聞2018年6月28日