選定された7件と貯留量

 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は13日、CCS(二酸化炭素回収・貯留)のモデル事例となる「先進的CCS事業」を7件選んだと発表した。2030年に合計で約1300万トンのCO2貯留量を確保する計画だ。政府は設備建設、操業といった段階ごとに資金面も含めて一貫した支援を行い、CCS事業のコスト低減を加速させたい考え。7件のうち5件は国内貯留、2件は日本で排出したCO2を海外に運んで貯留する。

 経済産業省・資源エネルギー庁は、30年までに年間600万~1200万トンのCO2貯留を行うことを目指している。今回の7件で目標達成にめどがつく形となった。西村康稔経済産業相は13日の閣議後会見で「日本は当面LNGを使う。新興国も石炭を使用する国がたくさんある」と述べ、カーボンニュートラルを目指す上でCCSは欠かせないとの認識を示した。

 政府は23年度予算で先進的CCS事業に35億円を計上。JOGMECを通じ各民間事業者の事業化調査を支援する。国内貯留の5件はCCSの「ハブ」として「今後の拡張可能性も高い」(エネ庁)という。エネ庁は50年までに計20~25カ所を開発し、年間1.2億~2.4億トンのCO2貯留につなげたい考え。

 政府は並行して、事業環境を整備するための「CCS事業法案」の提出準備も急ぐ。事業者は24年度に貯留井戸の試掘を始め、26年にも最終投資決定(FID)を行う方向で動いている。民間の動向を勘案し、法案は今年秋の臨時国会で提出される可能性が高いとみられる。海外CCSの実現に向けては、CO2を輸出する国との二国間協定も必要だ。政府内で連携しながら協議を進める。 

電気新聞2023年6月14日