既設送電線を活用して電源の接続量を増やす「日本版コネクト&マネージ」の一環として、電力広域的運営推進機関(広域機関)が4月から適用した送電線の空き容量増加手法の効果が表れている。5月末までの2カ月間で、従来、空き容量がなかった特別高圧系統への接続検討案件30件のうち10件で効果があり、空き容量が合計37万4000キロワット増えた。広域機関が13日の有識者会合で明らかにした。10件中9件は送電線を増強せずに電源を接続できる見込み。10月にも、全体的な空き容量の増加効果をまとめ、同会合で報告する。

 4月から適用したのは、送電線の最大潮流想定を電源の稼働実態に近づけ、空き容量を増やす手法。以前は電力需要が最も少ない時に、送電線に接続している電源が全て「フル出力」で発電しているという想定だった。新手法では、火力発電は発電コストが安い順(メリットオーダー)の稼働を想定。再生可能エネルギーは最大発電実績相当の稼働を想定する。

 広域機関は、13日の広域系統整備委員会(委員長=古城誠・上智大学教授)で、新手法による空き容量の増加効果を初めて明らかにした。5月末までの速報的な位置付けだ。

 効果があった特別高圧系統への接続検討案件10件のうち、最大だったのは22万キロワット増えた案件。残り9件は1000~6万9000キロワットの増加効果があった。空き容量がない場合、電源を接続するには送電線を増強する必要があるが、これにより最大で43者の発電事業者が増強をせずに接続できる見込みとしている。

 会合ではコネクト&マネージの手法である「N―1電源制限(エヌ・マイナス・イチ電制)」や「ノンファーム型接続」での電源抑制方法に関する考え方も提示した。

電気新聞2018年6月14日