DX人材育成のイメージ

 九州電力は26日、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に必要な技術、知識を身に付ける研修を、2025年度までに全社員に実施すると発表した。対象者は九州電力と九州電力送配電の合計約1万人で、主体的にDXを進められる人材「DXフォロワー」に育てる。高度な専門知識を持つ即戦力の「DX専門人材」は、25年度までに240人程度に増やす。DXに関わる能力を全社で引き上げ、企業変革や事業創出を加速させる。

 九州電力は収益拡大や生産性向上、新規事業の創出などを目指してDXに力を注ぐ。22年度も、DXの概論や必要性を学ぶ研修を全社員に実施してきた。今回はさらに一歩踏み込んだ目標を示した格好だ。

 DXフォロワーの研修では、デジタル技術やデータ活用の基礎知識を教える。DXを主体的かつ積極的に推進できるよう、全社員の能力を底上げする狙いだ。DX専門人材については、専門知識に加えてデータの分析や可視化、レポート作成といった実践的な研修を行う。

 DX専門人材の研修の一部は、九州工業大学(北九州市)と連携して実施する予定。九州工業大は情報通信やロボティクス分野に強く、産業振興に貢献する人材育成に力を入れていることから連携を決めた。

 DX専門人材の育成目標は240人で、5種類に分類される。内訳は、企画の推進を担う「DXマネージャー」は65人、データ分析のモデルをつくる「データサイエンティスト」は25人、データサイエンティストと業務主幹の橋渡しを担う「トランスレーター」は110人。業務やサービスのシステムを設計する「アーキテクト」、先進デジタル技術の実装や開発を手掛ける「DXエンジニア」は、それぞれ20人。

 また、九州電力は、若手社員がDXの「メンター」として先輩社員に助言する「逆メンター」制度も導入する。主に経営層のDX関連知識の向上を図るとともに、世代や部門を超えたコミュニケーションを促進する狙いだ。

電気新聞2023年5月29日