枠組み契約の署名式

 日本原子力研究開発機構は、廃止措置中の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)にあるナトリウムの英国処理(安定化合物化)を加速させる。4月28日付で原子力施設の廃止措置などを手掛ける英キャベンディッシュ・ニュークリアとナトリウムの英国処理に関わる枠組み契約を締結。今後10年間にわたる作業工程の概略や責任の所掌、守秘義務などを定めた。

 同日、原子力機構東京事務所(東京都千代田区)で枠組み契約の署名式を開催。原子力機構の小口正範理事長とキャベンディッシュ社のミック・ゴーノール社長が握手を交わした。両者は今後、枠組み契約に基づきナトリウム施設の計画作成や準備、処理、解体などの個別契約を結んでいく。年内にも第1弾の個別契約が締結される予定。

 もんじゅの廃止措置計画では2028年度から31年度に1次系・2次系双方のナトリウムを英国へ搬出する。英国は1994年に高速炉原型炉「PFR」の運転を終了。廃止措置の際、ナトリウムを処理した実績がある。

 原子力機構は、もんじゅのナトリウム保有量について21年時点で1665トンと試算。このうち77トンはタンクの底にたまるなど通常操作では抜き出せず、専用器具により回収可能としている。

 専用器具は「長いストローのような配管を検討しており、数年のうちに作る」(原子力機構)という。28年度までに回収のめどをつけられるかが今後の課題になりそうだ。

 もんじゅでは4月から31年度まで行う廃止措置計画の第2段階に入った。第2段階ではナトリウム機器の解体準備として、26年度までに原子炉容器に残る中性子遮蔽体全599体を取り出す。現在は第3回定期事業者検査中で、10月30日に完了する予定。年内に中性子遮蔽体の取り出しに着手したい考え。

電気新聞2023年5月8日