◆太陽光、35年頃に排出ピーク

 経済産業省・資源エネルギー庁と環境省は24日に開いた有識者会合で、再生可能エネルギー設備の適切な廃棄、リサイクルの促進に向けた検討に着手した。エネ庁は太陽光発電パネルの廃棄が2035~37年にピークを迎えて、年17万~28万トンに達するとの見通しを提示。適正な廃棄と再利用に向けて、リサイクル技術とコストの把握、パネル含有物質の情報開示の在り方などを論点とした。委員からおおむね賛同を得たため、今後の会合で必要な制度を検討する。年内に結論を得る方針。

 同日、「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会」(委員長=高村ゆかり・東京大学教授)の初回会合を開いた。太陽光発電パネルのほか風力発電、水力発電、地熱発電の設備も対象に廃棄、再利用方法を検討する。

 太陽光発電の廃棄を巡っては、FIT(固定価格買取制度)やFIP(フィード・イン・プレミアム)の認定案件を対象に、廃棄費用の積立制度が始まっている。これら案件は適切な処理が期待できる一方で、非FIT案件も増えている。国として廃棄やリサイクルの制度を整理して、廃棄物量を抑える。使用済み太陽光パネルの放置も防ぐ。

 会合ではパネル含有物質の開示も論点とした。メーカーに開示を義務化すれば、再利用工程の加速化が見込める。パネル型番ごとの含有物質をまとめたデータベースの必要性についてもヒアリングした。

 使用済みパネルの収集、運搬の在り方も論点として提示。委員からは地点ごとの廃棄物量、廃棄時期を明確化できれば、「廃棄物処理事業者のビジネス予見性が高まる」との指摘があがり、廃棄に関する見通しの精緻化を求めた。

 風力発電については、ブレード(羽根)に使用されている繊維強化プラスチックが特にリサイクルが困難と提示。海外動向を踏まえて、リサイクル策を検討する必要があると示した。次回は5月以降に廃棄物処理事業者などからヒアリングする。

電気新聞2023年4月25日