世耕経産相(右)に届出書を提出する岩根社長(28日、東京・霞が関)
世耕経産相(右)に届出書を提出する岩根社長(28日、東京・霞が関)

 関西電力の岩根茂樹社長は5月28日、大飯発電所3、4号機の再稼働を踏まえ、7月1日からの電気料金の値下げを世耕弘成経済産業相に届け出た。高浜発電所3、4号機の再稼働に伴う2017年8月の値下げに続き、2回目の値下げ。大飯3、4号機の再稼働を中心に経営効率化の深掘りなどを反映し、値下げ幅は平均5.36%で、規制分野が同4.03%、自由化分野は同5.94%となった。平均料金単価は、値下げ前料金収入ベースの1キロワット時当たり17円37銭から同16円44銭まで低減する。

 今回の届け出を受け、世耕経産相は電力需要が膨らむ夏季を前にした値下げを歓迎。「原子力再稼働の効果が消費者や中小企業の皆さんをはじめ、事業者に還元され、より一層、経済の活性化につながることが期待される」と述べた。岩根社長は「値下げメリットを広く周知し、経営効率化も行いながら、新メニューや商品を開発し、お客さまに信頼され選んで頂くよう、さらに努力していきたい」と述べた。

 原価算定期間は18年度からの3年間。値下げ後の原価は1兆7951億円。値下げ前の料金収入を1017億円下回る。前提諸元のうち、販売電力量は前回と比べ52億キロワット時減の1092億キロワット時。原子力利用率(7基ベース)は前回22.0%だったが、稼働可能な4基の運転を反映し48.8%まで高まる。

 平均5.36%の値下げの内訳は、火力燃料費削減が同5.22%で大半を占める。経営効率化の深掘りなどが同0.14%。

 代表的な料金メニューでは、規制分野の家庭向けの従量電灯Aが値下げ前に比べ3.5%減の月6675円となる。高圧ではスーパーマーケットや事務所ビルなどが対象の高圧電力ASが、同3.7%減の月約42万1千円となる。

 今回の値下げは、従来の関電エリア内のみで、他エリアでは実施しない。一方、託送料金単価は据え置く。燃料費調整の前提諸元を見直し、基準燃料価格は1キロリットル当たり2万7100円に変更する。

電気新聞2018年5月29日