JERAと大手電力8社の2022年度燃料消費量は、第3四半期(4~12月)までの傾向と大きな変化はなく、重油、石炭が増加し、原油、LNGが減少した。石炭は前年度比2.1%増で5年ぶりに6千万トンを突破し、東日本大震災直後の11年度以降では最多となった。LNGは6年連続の減少で11年度以降で最低となり、四国と九州を除く7社が前年度を下回った。

 石炭消費量は同123万6千トン増で、震災後ピークだった17年度の6041万2千トンから0.9%増えた。第3四半期までと同様に、JERA(同7.1%増)、中国(同17.1%増)、九州(同38.6%増)、沖縄(同2.3%増)の4社が増加した。

 九州は、松浦発電所(計170万キロワット)の揚炭設備トラブルによる稼働停止の反動増や、原子力の定期検査に伴う稼働増が影響したもよう。中国は三隅発電所2号機(100万キロワット)の営業運転開始、JERAは武豊火力発電所5号機(107万キロワット)の営業運転開始などが石炭消費量を押し上げたとみられる。

 LNG消費量は同226万2千トン減で、震災後ピークだった14年度からは2046万9千トン(36.2%)減少。4千万トン割れは2年連続で、北海道、東北、JERA、北陸、関西、中国、沖縄の7社が減った。前年度比33.2%増と大幅に伸びた九州は、原子力の定期検査による停止を補うため、石炭火力とともにLNG火力の稼働が増えたようだ。

 燃料価格が高止まりする中、石油火力の経済性が相対的に高まっていることを反映し、重油消費量は同42万1千キロリットル増だった。第3四半期までと同様に九州、沖縄を除く7社で増え、増加率では東北の37.6%、関西の20.4%、北陸の16.9%が上位だった。ただ、燃料価格の下落傾向とともに、各社は使用量を抑制している。

 原油消費量は同4万7千キロリットル減で、11年度以降では最低となった。東日本大震災後ピークだった12年度からは、1329万3千キロリットル(98.6%)と大幅に減少している。21年度は東北、北陸、関西が使用していたが、22年度は関西のみが使用した。

 燃料消費が最大のJERAは、販売電力量が微減だったことなどから、22年度発電電力量は前年度比4.9%減の2351億キロワット時だった。内訳は、LNGが1784億キロワット時、石炭が567億キロワット時で、LNGと石炭の発電電力量比率では前年度と大きな変化はなかった。

電気新聞2023年5月2日