2018年度に入り、九州と四国でエリア需要に占める太陽光発電の割合が一時的に8割を超えた。太陽光発電の系統接続量の増加スピードにはやや鈍化傾向がみられるが、電力需要が低く日射量が多い日に、再生可能エネルギーの出力制御が行われる可能性も高まってきている。需給バランスの維持にも厳しさが増している。

 九州電力によると、4月末までで最も太陽光発電比率が高かったのは4月29日で、約81%となった。同日午後1~2時の需要793万キロワットに対し、太陽光出力は645万キロワット。同社では、火力発電所の出力調整や揚水発電所の揚水運転などで対応し、需給バランスを維持した。

 九州エリアの太陽光発電接続量は、17年度末時点で785万キロワット、16年度末から88万キロワット増加した。最近も月平均6万キロワット程度のペースで増加が続いている。このままいくと、今秋以降に本土初となる再生可能エネルギーの出力制御実施が現実味を帯びる。

 このため、九州電力では、出力制御システムの動作や発電事業者への連絡体制などを確認する訓練を計5回実施。昨年11、12月には実際に出力制御の可能性が高い休日に行っている。

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 四国エリアでも5月5日に太陽光発電比率が一時80%に達した。四国電力は火力発電所の出力抑制や揚水発電所の揚水運転などで需給バランスを維持した。再生可能エネの出力制御は九州エリアほど差し迫った問題ではないが、発電事業者への周知など準備は進めているという。

 四国エリアの太陽光発電は現在229万キロワット。接続契約申し込み済みの82万キロワットを加えると311万キロワットになる。系統接続量はこの1年で19万キロワット増えたが、増加のスピードはやや鈍っている。従来、四国電力は今春にも出力制御が必要となると見込んでいたが、当面その可能性は低そうだ。

 だが、需給バランスの維持はこれまで以上に厳しくなっている。5月5日は休日だったことに加え、気温もそれほど上がらず、正午~午後1時のエリア需要は221万キロワットにとどまった。一方、この時間帯の太陽光発電出力は177万キロワットを記録した。

 四国電力は火力プラント5基を立ち上げていたが、うち4基は定格出力の4分の1程度に当たる最低出力で運転。残る1基も最低近くまで出力を落とし、火力出力を計98万キロワットまで抑えた。また、揚水発電所の揚水運転や連系線活用で79万キロワット分を吸収した。平水で水力発電の出力がそれほど上がらなかったことも影響した。

電気新聞2018年5月22日