エネ庁が議論に着手、まず事例聴取

 
 経済産業省・資源エネルギー庁は24日、中小企業、家庭を対象とした省エネ・非化石転換政策の検討を本格的に始めた。中小企業や家庭は省エネ法による定期報告の対象外で、この分野の取り組みが2050年カーボンニュートラル達成のポイントとなっている。エネルギー消費機器を通じた対策、エネルギー小売事業者を通じた対策の両面から議論を深める。

 24日に開いた総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)省エネルギー小委員会(委員長=田辺新一・早稲田大学教授)で、議論を本格的に始めた。

 中小企業と家庭は、日本の最終エネルギー消費の約5割を占めるが、省エネ法が求める定期報告の対象外となっている。これまでエネルギー消費機器に対するトップランナー制度や、消費者への情報提供強化など、間接規制によって両者にアプローチしてきたが、取り組みをさらに深掘りする。

 24日は議論に当たって、関係機関や企業にヒアリングした。IEA(国際エネルギー機関)の貞森恵祐・エネルギー市場・安全保障局長は、安定供給を維持しつつ最適なコストでのエネルギー転換を達成するため「電化を含めた燃料転換と、電力システムにおける柔軟性の拡大が重要」と指摘。「そのためには省エネを含む需要側の対策が不可欠」と強調した。

 南オーストラリア州では、今年7月からDR(デマンドレスポンス)に対応できない空調機器の導入を禁止する制度が施行される予定だ。こうした先進的な取り組みが広がる中で、貞森氏は「標準や基準作りが極めて重要。国際的なルール作りへの日本の貢献が期待される」とした。

 このほかヒアリングでは、電力中央研究所がオフピーク時間帯の充電をデフォルト設定とすることを義務付けた英国のEV(電気自動車)充電器規制を説明。東京電力エナジーパートナー(EP)は、太陽光の自家消費を促進する「おひさまエコキュート」などを紹介した。

 次回はエネルギー消費機器のメーカーにヒアリングする。

電気新聞2023年3月27日