日本、欧米の浮体式洋上風力に関する政策が解説された

 

内外の動向紹介

 
 日揮や住友商事グローバルメタルズなどが参画する浮体式洋上風力発電推進懇談会は7日、都内で第2回浮体式洋上風力発電カンファレンスを開いた。国内外の行政関係者が政策や最新動向を解説。日本は浮体式洋上風力の導入目標設定や、開発に必要な関連法制度の整備を目指す方針を示した。海外の関係者からは、雇用創出などのメリットを一般に周知することが大切といったメッセージが出された。

 浮体式洋上風力は遠洋での開発が必要となる。内閣府は排他的経済水域(EEZ)で展開することを想定し、有識者検討会で議論。取りまとめでは「具体的な国内法制度整備の検討を速やかに開始することが望ましい」と提言した。

 経済産業省・資源エネルギー庁の石井孝裕・風力政策室長は、市場形成に向けて「導入目標を示す」と語った。人材育成、技術開発を支援し、国内産業として確立したい考えだ。

 国土交通省・海事局は浮体式洋上風力のコスト低減策を紹介。コンクリート製の浮体構造や、合成繊維の係留索を導入するためのガイドラインを3月中にまとめる。作業船を国産化していく方針も示した。現在9隻が稼働し、2030年に50隻、40年に200隻が必要と見込んでいる。

 先行する欧米の動向も紹介された。英国は30年までの洋上風力導入目標5千万キロワットのうち、500万キロワットを浮体式にする計画だ。駐日英国大使館ビジネス・通商部のウメール・チャウドリー参事官は、一般市民への理解活動が重要と指摘。「英国ではエネルギーだけでなく雇用(の政策)だと主張している」と話した。

 欧州連合(EU)は30年に1千万キロワットの浮体式導入目標を掲げている。駐日EU代表部通商部のイルッカ・サーリネン参事官は、「1500万から2千万キロワットに目標が高まるのでは」と見通した。

 米国は35年までに洋上風力3千万キロワットのうち、浮体式を1500万キロワット導入する計画だ。カリフォルニア州やオレゴン州などが中心となる見通し。内務省海洋エネルギー管理局のダグラス・ボーレン太平洋担当ディレクターは、「米国は浮体式でリーダーになる」と意気込みをみせた。

電気新聞2023年3月8日