海洋研究開発機構(JAMSTEC)は北極海周辺で「夏季の温暖化」が進行しているとする調査結果をまとめた。2002年から16年までの15年間を対象に北極ツンドラ全域のデータを分析。その結果、年間平均気温では温暖化の兆候がみられないものの、6~8月の平均が2度上昇していることが明らかになった。北東ユーラシア地域は日本の風上に位置する。この地域の気候変動は、日本にも影響を及ぼすとしている。

 北極圏陸域の約8割を占めるツンドラ域を対象に調査した。温暖化に伴い、ツンドラ域からの蒸発散量が増加し、湿地面積が減少していることも明らかになった。

 夏季の温暖化は永久凍土の融解を加速させ、地中に閉じ込められた温室効果ガスの放出につながり、温暖化を進行させる可能性がある。

 温暖化の影響因子である二酸化炭素(CO2)やメタンなどの循環を明らかにするには、発生、輸送、吸収までの過程を解明する必要がある。

 JAMSTECは、今回の成果を地球規模の温暖化予測研究につながるものとしている。

電気新聞2018年3月14日