大手電力10社の2022年度第3四半期(4~12月)連結決算が出そろった。経常損益は、燃料、卸電力価格高騰や円安などにより、原子力の稼働が増えた四国を除く9社が赤字だった。小売販売電力量は北海道、東京、関西、四国、沖縄の5社が前年同期から増加。22年度通期損益は上方修正が相次いだものの、中部を除く9社が経常、最終とも赤字になると予想した。
通期予想を上方修正したのは北海道、中部、関西、中国の4社。中部は燃料、卸電力価格が前回公表時(22年10月)よりも大幅に下落していることなどから、経常損益、純損益とも黒字に転換した。東京、北陸、四国は通期予想を据え置き、東北と沖縄は下方修正した。
各社の事業環境は悪化しており、7社が規制料金の値上げを申請している。中間期と比べ、期ずれ影響を除いた経常損益で黒字だった東北、北陸、中国、九州は赤字に転落し、東京は赤字が大幅に拡大した。
小売販売電力量では、関西は前年同期比12.6%増と好調。電灯は減少したが、電力の需要件数の増加が大きく寄与した。同9.1%増だった北海道も低圧は同3.3%減だったが、特別高圧・高圧は同16.0%増となった。
一方、中部は同4.7%減となり、低圧、特高・高圧とも減った。九州は、九州エリアは増加したが、エリア外での販売量が減ったことで全体が減少した。
売上高は、燃料価格高騰による燃料費調整額の増加などで全社が増収。通期でも全社が増収を見込んでおり、10社計で21年度比約1.5倍になると予想している。
燃料費の負担増が続く中、各社は特に石炭の調達を工夫している。東北は、価格が低い亜瀝青炭や中灰分炭などの輸入に取り組む。九州も、調達時期の分散や低品位炭の導入などを進める。
東京電力ホールディングス(HD)の山口裕之副社長は1日の決算会見で、燃料価格の状況について「ピーク時からは下がってきているが、新型コロナウイルス感染拡大前と比べると、まだまだ高い。特に石炭は高く、来年度も厳しい」と説明した。
電気新聞2023年2月7日