3号機原子炉建屋上部に設置されたドーム屋根
3号機原子炉建屋上部に設置されたドーム屋根

 東京電力福島第一原子力発電所事故から間もなく7年。福島第一3号機では2月21日、使用済み燃料プールから燃料を取り出すために設置しているカバーのドーム屋根が完成した。2月上旬、取材でそのドーム屋根が完成する前の3号機に上がった。屋根の下は決して線量が低い場所ではなかったが、2018年度中頃に開始する使用済み燃料取り出しに向けた準備作業が着々と進んでいた。
 
 ◇散乱がれき影響
 
 3号機原子炉建屋最上部に設けられた作業床は、地上約36メートルの高さにある。元々のオペレーティングフロアがある地上30メートル地点までエレベーターで上がり、靴を履き替えてから階段を上ると、作業床にアーチを描くように設置されたドーム屋根が目に飛び込んできた。プールの上には燃料取扱機やクレーンが設置され、約566体の使用済み燃料を取り出す作業が近づいていることを感じさせた。

 作業床に上がると、東電の担当者が「地上30メートル地点の線量は毎時0.15ミリシーベルトでしたが、6メートル上がるだけで毎時0.04ミリシーベルトに下がります」と説明した。この辺りの線量は、水素爆発でオペレーティングフロアに散らばった高線量のがれきの影響が大きいという。線源から距離を取れば、線量は下がるという原則をあらためて認識した。

作業床から5メートル下の使用済み燃料を望む
作業床から5メートル下の使用済み燃料を望む

 記者と東電の担当者ら計7人がプール近辺に向かうと、直後に2人のAPD(アラーム付きポケット線量計)が続けざまに鳴った。十数秒の間を空けて、記者の左胸ポケットに入ったAPDも鳴り響いた。線量計は積算0.02ミリシーベルトごとに鳴る設定だ。

 プールの近辺は3号機建屋の最上部で最も空間線量が高い。線量計の表示は毎時0.7ミリシーベルト前後だった。プール近辺の空間線量が高いのは、がれきからの線量を受けるためで、プールの水の中にある燃料の影響は低いという。

 青色のネット越しに6メートル下のプールをのぞき込むと、プールの縁には小石状のがれきが散乱していた。緑色をした遮蔽板の隙間からは、元々のオペレーティングフロアの床面ものぞいていた。プールの中にある燃料は水の濁りで見えなかった。

 「近づいては離れるのが基本です」。東電の担当者から声を掛けられ、プールの脇を離れた。5メートル離れただけで、線量計の数値は10分の1程度にまで下がった。

 東電によると、事故後の3号機オペレーティングフロアの空間線量は毎時約900ミリシーベルトだった。取材上限の0.1ミリシーベルトに1秒以下で到達するレベルだ。除染やがれき撤去、遮蔽体やカバーの設置を進めたことで、現在は1日に1~2時間程度の有人作業が可能になった。

 取材で3号機建屋の上に滞在したのは25分程度。東電の担当者は頻繁に線量をチェックしていたが、数人の積算線量が0.06ミリシーベルトに達すると「降りましょう」と大きな声を上げた。
 
 ◇環境なお厳しく
 
 福島第一では、除染や地表面をモルタルで覆う工事を進めたことなどによって、構内の空間線量が低下。比較的軽装で作業できるエリアが増え、作業員の労働負荷も軽くなった。一方、今回取材した3号機原子炉建屋最上部のように、線量が決して低くない環境下での作業がまだ必要なことも事実だ。

 3号機でも燃料取り出し作業自体は無人重機で行うが、有人作業も一部必要になる。直近では、燃料取り出し用カバーの電気系統や換気設備の整備がそれに当たる。

 23年度のプール内燃料取り出し開始を予定している1、2号機では、オペレーティングフロアの線量が毎時数百ミリシーベルトと高いままだ。

 取材終了後、東電の担当者は「3号機建屋最上部の線量が低くなったことを強調したくはないが、リスクを下げたからこそ、使用済み燃料取り出しに取り掛かれるところまできた」と感慨深げに話した。

電気新聞2018年3月5日