関西電力とケイ・オプティコム(大阪市、藤野隆雄社長)、兵庫県養父市の3者は、ICTを活用して鹿の出没状況を監視し、捕獲するシステムの実証を開始した。農作物に被害をもたらす鹿を計画的に捕獲し、被害を抑えることが目的。期間は3月31日まで。実証を踏まえて関電グループの新規事業として実用化を目指す方針だ。

 実証では関電が所有する電柱などにケイ・オプティコムの「mineo(マイネオ)監視カメラ」3台を設置。2月23日から運用を開始し、鹿の群れの出没状況や頭数を把握する。養父市や地元の猟友会は、マイネオ回線を通じて監視カメラの映像をスマートフォンやタブレット端末で確認できる。映像をもとに、効率的に鹿を捕獲できる最適な位置を探り当てられる。

 出没状況の分析を踏まえて3月5日をめどにわなも設置する。わなにも監視カメラ1台を設置して状況を確認。鹿がわなにはまると猟友会の端末に通知が届き、端末から遠隔でわなを閉じて鹿を捕獲する仕組みだ。関電グループは、わなの位置や捕獲状況、報告書を管理するシステムまでを一括で提供する。

 養父市は2016年度に鳥獣被害防止計画を策定。17~19年度は各年度で約3千頭ずつの鹿を捕獲する計画だ。鹿による農業への被害は深刻で、15年度には米や野菜など被害総額は約1670万円に上る。同市は19年度末に被害額を約3割軽減する目標を掲げる。猟友会会員の高齢化が進むなど、担い手の育成も課題となっていた。実証がうまくいけば「引き続き連携したい」(同市産業環境部環境推進課)としている。

電気新聞2018年2月26日