ENEOSと三菱商事は5日、荷物の配送拠点として給油所を用いる事業を配送業者向けに始めると発表した。両社の折半出資で、事業を担う合弁会社を9月までに設立する。電子商取引(EC)市場の拡大で消費者向けの宅配荷物量が増加しており、全国に1万2千カ所以上あるENEOSの給油所網を活用すれば配送の効率化に寄与できると判断した。2026年度には全国展開に乗り出したい考え。

 新会社の名称は「ライフ・ハブ・ネットワーク(仮称)」。本社は東京都千代田区に置く。社長を含めた詳細は協議中。まずは今年9月までに首都圏1都3県にある給油所100カ所で実証を開始し、25年度までに最大千カ所に拡大する。

 配送業務では、最終配送拠点から配送先までの区間「ラストワンマイル」の効率化が特に重要とされる。新会社は、荷物の一時保管・最終配送拠点として活用できる給油所をマッチングするシステムを開発する。

 給油所は車両が出入りしやすい構造になっており、配送拠点に適している。給油所を配送拠点とすれば、大型倉庫から直接配送する場合と比べて配送車両の走行距離を減らせる見込み。配送業務のコスト削減と低炭素化、ドライバーの負荷軽減につながる。

 電気自動車(EV)普及で給油所は転機を迎えている。ENEOSは給油所の多角化などで対応する方針。

電気新聞2023年1月6日