北海道電力が新たに配備した「系統図表示アプリ」
北海道電力が新たに配備した「系統図表示アプリ」

 北海道電力は今年度、配電の系統図や事故写真などの最新データを共有するためのスマートフォンを現場に計252台配備し、運用を始めた。独自に開発した5つのアプリケーションを備え、業務効率化に効果を発揮している。指令側・現場側の双方にとって利便性が高く、広大過疎な北海道で事故復旧に欠かせないツールとなりそうだ。通常の保守業務にも適用を検討している。

 2012年10月に導入した「配電系統図表示システム」により、日々の状況変化を反映した最新の系統図データを、タブレット端末で持ち出せるようになった。情報更新頻度、現場での扱いやすさなど、紙に比べて利便性が高まった。ただ、通信機能と組み合わせた使い方はしていなかった。

 今回配備されたスマートフォンの「系統図表示アプリ」は、必要な系統図をメールのやりとりで入手して表示するもの=写真。系統図は開閉器の入り切り情報、スマートフォンの位置情報も表示できる。一般的な地図アプリと連動して目的地へのルート検索も可能だ。現場では「写真送信アプリ」「事故メモ送信アプリ」を使い、写真とメモをメールで送信。状況をすぐに共有できる。

 また、「位置情報送信アプリ」はスマートフォンの位置情報を一定間隔で発信し続けて共有するためのもので、的確な指令、無駄のない移動を支援する。さらに「電柱番号で行こう!アプリ」は、電柱の番号を入力すると、そこまでのルートを示すとともに、ストリートビューで周囲の風景も見られる。

 これらのアプリを駆使することで、事故対応の効率性が高まり、復旧に要する時間やコストの削減につながる。情報共有のためだけに関係者が拠点に集まる必要がなくなるほか、土地勘のない場所での移動もスムーズになる。北海道は区画が整然とした地域、畑や山林など似たような景色が延々と続く地域が多く、位置情報は非常に役立つという。

 アプリは6人の“エキスパート”がチームを組んで開発した。開発コストの抑制だけでなく、社内のニーズに素早く柔軟に対応できる点も強みだ。

電気新聞2018年1月29日