ENEOSは電気自動車(EV)関連事業を強化する。充電器設置や充電向け時間帯別料金メニュー、EVカーリースなどを展開する。車の電動化に向けた動きが加速する中、将来のEV普及を見据えた事業体制への転換を急ぐ。
EV充電の種類は充電場所によって大きく3つに分類される。自宅や事務所が「基礎充電」、目的地までの道中が「経路充電」、目的地が「目的地充電」。ENEOSはこのうち基礎充電と経路充電に焦点を当てた。
経路充電事業では急速充電器の設置を進める。2025年までに千基、30年までに最大1万基を設置する計画。基本料金が無料となる会員向け経路充電サービス「エネオス・チャージ・プラス」を先月始めるなど、給油所や商業施設での充電器設置を後押ししている。23年4月以降は同サービス向けに実質再生可能エネルギー電力の提供も予定する。
基礎充電事業では、電力小売サービスでEVユーザー向けに提供している実質再エネメニューと、経路充電サービスをセットにしたサービスを検討。23年10月以降の開始を目指す。EV充電向け時間帯別料金メニューの展開や、エネルギーマネジメントサービス実証も計画している。
EVのカーリースやカーシェアなど「EVモビリティ事業」にも力を注ぐ。個人向けリース事業では、扱う車種にEVを加える。法人向けリース事業では、EVと実質再エネ電力の調達、充電インフラ設置を含め、EV導入を総合的に支援するサービスを23年度以降に始める。
ENEOSはEV関連事業で、経路充電事業、基礎充電事業、EVモビリティ事業を3本柱とする方針。●能治執行役員・EV事業推進部長は「将来的に自動車の主流がEVに変化しても、これまでの事業経験を生かして充電設備関連事業を展開していきたい」と強調する。※●は雨かんむりに隹鳥
電気新聞2022年12月5日