20年間のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)買い取り期間が終わり、製品寿命も迎えた太陽光パネルが、2040年頃に大量に打ち捨てられる懸念が高まっている。売電収入の一部を廃棄費用として積み立てている発電事業者が少ないことなどが理由だ。これを踏まえ、経済産業省・資源エネルギー庁は、積み立てを担保する方策の本格検討に乗り出す。第三者機関が積立金を集める仕組みなども想定している。

 12年に始まったFITの全量買い取り期間は20年。ただ、太陽光パネルの寿命は25~30年といわれており、期間終了後も5~10年は自家消費などに使われる可能性がある。2012年から起算すると、おおむね2040年頃にパネル廃棄のピークを迎えそうだ。環境省の調べでは、ピークは2039年。産業廃棄物の最終処分量の6%に当たる約77万5千トンのパネルが廃棄物として出ると予測している。

 現行はパネルの廃棄費用として、FIT買い取り価格の算定基礎になる資本費の5%分が計上されている。太陽光設備のFIT認定時に、発電事業者が廃棄費を事業計画に記載する仕組みもあるが、実際の費用の積み立ては努力義務だ。

 エネ庁によると、発電事業の開始後、事業者は借入金の返済などを優先して、積み立てを後回しにする場合がある。エネ庁の調査では、約900の低圧太陽光事業者の74%、約170の高圧太陽光事業者の59%が廃棄費用を積み立てていない。

 エネ庁は、事業者の資金力が不十分な場合などは、自己所有地に設置された太陽光パネルが事業終了後に「大量に放置されたり、不法投棄されるリスクが高い」と判断。廃棄費用の積み立てを担保するために必要な方策の検討を進める。検討には時間を要するため、比較的早く導入できる方策として、積み立て計画と進捗状況の毎年度の報告を発電事業者に義務付け、その情報も公開する。計画通りに進んでいない事業者には、必要に応じて報告徴収・指導、改善命令を出す。2018年度にも適用する。

 併せて、環境省と共同で、太陽光パネルのリユース・リサイクルを促進するために必要なコストなどの実態把握を進める。法整備も視野に入れている。

電気新聞2018年1月29日