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一般海域の利用ルール整備後、競争が活発化するとみられている洋上風力(イメージ)

 経済産業省・資源エネルギー庁は19日、2018年度以降のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)買い取り価格などを決める調達価格等算定委員会(委員長=植田和弘・京都大学名誉教授)で、洋上風力にも入札制度を導入する方針を示し、大筋で了承された。導入スケジュールは未定だが、一般海域の利用ルールの策定状況を見極めながら詳細を詰める。20キロワット未満の小型風力の買い取り区分を撤廃することも合わせて決めた。

 洋上風力を巡っては東北北部の電源募集プロセスで約800万キロワットの応募があった。一般海域の利用ルールが整備された場合、導入量はさらに拡大し、事業者間の競争も活発化することから、国民負担の増加が予想される。入札制を取り入れることで、価格の抑制を図る狙いがある。

 利用ルールは現在、内閣府を中心に整備が進められており、まずは適用案件から順次入札制へ移行させる。洋上風力の認定状況なども鑑み、算定委で今後詳細を検討する。

 また、出力20キロワット未満の小型風力についても検討。現行価格は1キロワット時当たり55円で、諸外国と比べ、発電コストを含め高止まりしているのが現状だ。エネ庁ではFITからの自立は困難で、現行価格で新規認定を行うことは「適当とは言えない」と判断。来年度以降は出力20キロワット以上の風力発電と同区分として扱うことにした。

 一方、前回会合で指摘のあったバイオマスの区分も整理した。現時点で導入事例はないものの、パーム油以外のバイオマス油脂やエタノールなどの燃料の全てを「バイオマス液体燃料区分」として一体的に扱うことを確認した。

 18年度初めて実施されるバイオマス入札に関しては、入札量を20万キロワットに設定。内訳として、16年度末時点の導入量の割合が一般木質で93%、液体燃料で7%となっていることを踏まえ、それぞれ18万キロワット、2万キロワットとする案を事務局が提示した。次回以降、再度整理する。

 この他、会合では買い取り価格の決定に向け、風力、地熱、中小水力のコストデータなどを提示。委員から大きな異論は出なかった。エネ庁ではこれまでの議論をまとめた上で、次回会合で電源ごとの買い取り価格の案を提示する方針。

電気新聞2018年1月22日