調達価格等算定委員会(委員長=高村ゆかり・東京大学教授)は4日の会合で、12月にも洋上風力発電の事業者を公募する4海域を取り上げ、秋田、新潟の計3海域の供給価格上限額を1キロワット時当たり19円に決めた。昨年公募した秋田県由利本荘市沖などと比べて10円下がった。同時公募する長崎の海域は岩盤地盤で基礎部を新方式で構築するため同29円とした。会合では、入札時に1キロワット時当たり3円以下を提示した事業者は供給価格点で満点とする採点方法も決めた。

 取り上げたのは(1)「秋田県八峰町・能代市沖」(最大受電容量35万6千キロワット)(2)「秋田県男鹿市、潟上市・秋田市沖」(同33万6千キロワット)(3)「新潟県村上市・胎内市沖」(同70万キロワット)(4)「長崎県西海市江島沖」(同42万4千キロワット)――の4海域。経済産業省・資源エネルギー庁は算定委の了承を得られたため、各海域の公募占用指針を作成しパブリックコメント(意見募集)にかける。

 供給価格上限額は前回公募と同様に、資本費や運転維持費などを織り込んだ。欧州の実績や前回公募の結果も踏まえて算出した。

 一定の入札価格以下を提示した事業者に供給価格点で満点を与える採点方法は、公募ルール検討時に案を出していた。入札額が市場価格を下回るとFIP(フィード・イン・プレミアム)の特性上、国民の金銭負担はない状態になる。市場価格を大幅に下回る事業者を点数で差別化する必要がないと判断し、風力発電の市場価格の推移を参考に3円以下を満点とする方式とした。

 エネ庁によると風力発電の市場調査では、最も低い価格水準が1キロワット時当たり3.36円だった。事業者の公募は240点満点で評価する。このうち供給価格点は半分を占める。

電気新聞2022年11月7日