NEDO、RITE、三菱重工エンジなど技術確立へ

 
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、地球環境産業技術研究機構(RITE)、三菱重工エンジニアリングは20日、二酸化炭素直接回収(DAC)技術確立へ試験装置を開発したと発表した。大気などから低濃度の二酸化炭素(CO2)を高効率で分離・回収することを目指す。RITE敷地内(京都府木津川市)に専用実験棟を整備。試験装置は目標の性能を発揮する固体吸収材と組み合わせれば、1日当たり数キログラム規模の直接回収が可能だ。

 RITEは今回、アミン系CO2吸収剤が付着したDAC実機サイズのハニカム(ハチの巣)構造の吸収材を開発した。これまでは数センチメートル程度の小さなサイズの吸収材で評価を行ってきた。これにより、実用化に向けた材料開発の進展が期待される。

 新たに設けた試験装置は、その吸収材を評価できる実機サイズ。大気を取り込み、吸収材を通過させて排気する構造。吸収材からのCO2脱離は、高濃縮が可能な「蒸気再生方式」を採用した。

 今後、装置の大型化・実用化に向けたデータの収集、知見の蓄積を進める。吸収材は25メートルプール2.4杯分に相当する1273立方メートルの大気を入力すれば、1キログラムのCO2を回収できる性能を目指す。2020年代後半に1日当たり10トン程度の回収が可能なパイロットスケールのDAC試験装置の設計と経済性評価を実施し、早期の社会実装につなげたい考え。

 この研究開発は、人類の月面着陸に匹敵する「破壊的イノベーション」の創出を目指すNEDO「ムーンショット型研究開発事業」の一環。金沢大学と共同で「50年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」する目標の達成に向け低濃度で回収が困難といわれる大気中のCO2回収に取り組む。

電気新聞2022年9月21日