電力・ガス取引監視等委員会と国民生活センターは、電力・ガス小売り全面自由化がスタートして、それぞれ1年半、半年が経過したのを踏まえ、消費者から寄せられたトラブル事例を公表した。電話勧誘を受けただけなのに契約手続きが進んでいたり、大手電力との委託関係をかたって契約を持ち掛けるケースなどを示し、注意を呼び掛けている。

 電力関係では、各事業者の営業活動が本格化した2016年1月以降、国民生活センター、消費生活センターに計2784件、電力・ガス監視委の相談窓口に1579件の相談が寄せられている。

 具体的には電話勧誘を受け、契約の意思がないにもかかわらず勝手に手続きが進んでしまっていた事例や、「大手電力からの委託を受けている」と称する事業者からスマートメーター(次世代電力量計)の“無料設置”と引き替えに契約を迫られるといったケースがあった。

 一方、ガス全面自由化に伴い、「割安になる」との名目で、電気とのセット販売を持ち掛けられたにもかかわらず、料金が変わらなかったり、一部で割高になっているといった相談があるほか、ガスの契約切り替え後の保守点検に不安を感じるといった声も寄せられた。

 電力・ガス監視委と国民生活センターでは契約を切り替えるには条件・内容を確認した上で慎重に行うことが重要と指摘。クーリングオフの活用もアドバイスしている。大手電力を装った事業者への対応としては、直接大手電力に問い合わせることなどを勧めている。



電気新聞12月5日