CJPTとヤマト運輸が開始

 
 商用車の電動化を目指す自動車メーカー各社による合弁会社、コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)とヤマト運輸は27日、商用電気自動車(EV)向け交換式蓄電池の規格化・実用化に向けた検討を開始すると発表した。商用EVの稼働率向上や、充電タイミングの分散による電力需要ピークの抑制などを狙う。交換式蓄電池を巡っては、両社の動きとは別に二輪向けサービスが国内で予定されており、交通手段を電化するための有力な手段に浮上している。

 CJPTは交換式蓄電池を搭載できる商用EVの企画を進める。商用EV軽バンから小型EVトラックまで蓄電池の形状、充電システムを共通化することで、コスト低減や普及を促す。ヤマトは再生可能エネルギーの有効利用など地域社会との新たな電力利用スキームを検討し、配送パートナーまで含めた運輸の脱炭素を図る。

 両社は、(1)EV車両導入コストの低減(2)ドライバーの充電負担軽減(3)物流のタイムロス削減(4)電力需要の平準化――を交換式蓄電池導入のメリットに挙げる。

 (1)では、搭載する電池の容量を走行距離に見合ったレベルまで絞り込むことで、EV車両コストの大きな部分を占める電池総量を縮小。軽量化による「電費」の向上も期待できる。(3)については、電池交換が短時間で済み、電池一体型EVと比べて車両の稼働率向上が望める。(4)は、電池一体型EVでは充電時間帯が集中して事業所の電力需要ピークが高まることも懸念されるが、その解消につながるとみられる。

 蓄電池の形状、容量、重量などは今後検討するが、できるだけ早い時期の実用化を目指す。交換方法も検討事項だが、大掛かりな装置を使わずに交換できるようにしたい考え。

 蓄電池交換式のEVは約10年前まで各国の様々な主体が事業化を試みたが、重量のある蓄電池を交換する専用設備のコストがかさんだことなどから、急速充電方式が主流となっていった経緯がある。

 その一方、近年は電池交換式スクーターを手掛ける台湾の「ゴゴロ」が成功。日本でも大手二輪4社が昨年「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」を設立し、規格統一などで共同歩調を取る。

 また、ENEOSを中心に設立した新会社のGachaco(ガチャコ、東京都港区、渡辺一成CEO)が今秋、東京と大阪で、電池を交換できる二輪のシェアサービスを開始する予定だ。

 交換式の蓄電池は非常用電源として活用できる長所もあり、地域のエネルギーセキュリティー向上に活用するアイデアもある。CJPTとヤマトは今後、他の取り組みとの連携や新たなパートナーの加入もあり得るとしている。

電気新聞2022年7月28日