1号機では56時間以上停止する際、約240カ所に及ぶバルブを手動で閉め、運転再開時には同様に手動で開ける

 営業運転開始から半世紀弱。4月1日に長期計画停止に入ったJERAの袖ケ浦火力発電所1号機(千葉県袖ケ浦市、LNG、60万キロワット)が同月18日、再稼働した。6月の電力需給逼迫では高経年化火力でありながら、点検などをしっかり行って供給を続けた。同発電所の中村仲所長は「『必要なときに必要な量を供給できる発電所を目指そう』というミッションの下、所員一人一人がしっかり対応している」と話す。

 1974年8月に営業運転を開始した1号機は、22年4月から長期計画停止に入る計画だった。だが、3月の福島県沖地震や気温低下による需給逼迫を受け、JERAは活用可能性を見据え、3月下旬に長期計画停止に向けた作業を中断。4月に入り短期間での運転再開に向けた準備を進めた。

 再稼働が4月8日に決まり、同月17日までに並列ができるように準備を進めた。既に発電機内の水素を抜いており、約140立方メートルの水素を入手する必要があったが、短期間で確保できた。中村所長は、短期間での作業について「作業上で特に難しい点はなかった。安全最優先で進めた」と振り返る。

 再稼働から7月25日までの間、需給状況に合わせて15回の起動停止を行い、発電時間は計617時間に上る。

 安定運転のため、日常の巡視・点検にしっかり取り組む。毎日1時間ほどかけて「ボイラー周辺が高温になっていないか」「ガス漏れがないか」「モーターの振動に異常がないか」など25カ所ほどを確認する。同発電所技術ユニットの棈松秀男氏は「特に温度管理に重点を置いている。五感を使ってしっかり点検している」と説明する。

 同ユニットの高梨昌也氏は、高需要期が続く中で「安定供給を維持するため、(トラブルなどで)設備を停止させられない。巡視・点検で弱点部位を早期に見つけられるように気を配っている。設備をしっかり守っていきたい」と意気込んでいる。(編集委員・浜 義人)

棈松秀男氏の「棈」は、正しくは木へんに「青」

電気新聞2022年7月28日