三菱総合研究所は電力・ガス小売り自由化に関する消費者アンケートの結果を公表した。3万人を対象にスイッチング(供給者変更)意欲を調査したところ、電力・ガスともに無関心な層が目立った。手続きの手間や料金プランの分かりにくさが消費者を遠ざけているようだ。

 アンケートは6月、ウェブで実施した。電力については昨年6月も調査した。

 電力でスイッチングに無関心という回答は昨年44.3%だったが、今年は49.6%に上昇した。スイッチング済みの消費者は10.7%。昨年は自由化から3カ月の時点で約5%に達しており、1年間で5%の上積みにとどまった。三菱総研の実島哲也主任研究員は「テレビCMや報道が減った」ことが原因の一つと分析する。

 切り替えない理由は「手続きが面倒」(37.6%)や「料金が安くならない」(34.8%)が多かった。昨年に比べて「現状の電力会社に不満がない」や「安心感がある」との回答が増え、「切り替えの関心・意欲が薄れている」と三菱総研は指摘する。

 ガスでスイッチングに無関心という回答は55.3%と過半数に達し、昨年の電力と比べても高い。「料金プランが分かりにくい」(33.7%)という回答が昨年の電力の27.2%と比べ多かった。実島氏は、新規参入者が少ないことも背景にあるとみる。

 ガス市場の競争が限定的な理由として、ガスインフラ整備の遅れや、ガスの調達しにくさなどを挙げた。一方、実島氏は「ガス代は電気代と比べ少なく、消費者の(スイッチング)ニーズは相対的に小さくなる」という見解も示した。

電気新聞2017年11月17日付