6月27日、観測史上最速で関東甲信地方の梅雨が明け、早い夏が到来した。東京都心で6月の猛暑日最長記録を更新するなど、過去に経験のない事態に直面。電力需給は綱渡りが続いた。今回のような異常気象や太陽光発電の普及によって需給状況は予測しにくくなっており、気象の専門家は「高まるリスクにどう備えるか、いま一度検討が必要だ」と警鐘を鳴らす。

 電力需要を最も大きく左右するのは気温だ。異例の高温をもたらした早い梅雨明けは、ラニーニャ現象が関係している。日本付近では偏西風が北寄りに流れており、太平洋高気圧とチベット高気圧が平年に比べて北に張り出し、梅雨前線を押し上げた。

 日本気象協会は6月最終週の高温傾向を約2週間前に予測していたが、その時点で気温を正確に言い当てるのは至難の業という。

 例年、梅雨明け後の気温は晴れと雨で3~4度程度も違い、予測誤差が1度以内に収まるのは実需給の2~3日ほど前だ。エネルギー事業課の渋谷早苗氏は、「週単位の需給見通しを作る場合などは、こまめに気象データをアップデートする必要がある」と話す。

 渋谷氏によると、夏に晴れて気温が上がる日は気象予測誤差が小さく、電力需要も比較的読みやすい。しかし、それが6月となると話は別だ。同じ気温でも7~8月とは需要の出方が違う。

 6月の同時期に同じような気温だった日は少なく、過去の類似日から需要を予測するのは難しい。技術革新によって需要予測手法は高度化しているとはいえ、AI(人工知能)が学習している6月の高温データが少なければ、正確な答えは出にくい。

 一方、太陽光の導入拡大により供給力の見通しも立てにくくなっている。日射量は雲の影響を大きく受けるが、その発生場所や厚みを全て正確に予測するのは困難という。気温や湿度、風など複数の要素が絡み、そのバランスが少しでも崩れれば予測は大きく外れることもある。

 需給逼迫の危機はひとまず乗り切ったが、同課の榎本佳靖氏は「仮に、夕方に気温があまり低下しないまま雲が広がっていれば、(需要から太陽光発電量を除いた)残余需要が増えて予備率はさらに低下していた可能性がある」と指摘。需給両面の変動リスクが高まる中、各エリアの気象特性や太陽光導入比率などに応じた備えが必要と問題提起する。

 同課によると今年は長く暑い夏になりそうだ。7月4日時点の見通しでは、今後太平洋高気圧はいったん後退するが、7月17~18日頃に夏の暑さが戻る。気象条件は猛暑だった2018年と似通っており、過去2年間と比べ7、9月の高温傾向が特に顕著という。

 卸市場価格が高騰するレベルの暑い日は10日以上増える可能性があると予測する。卸市場価格は既に6月の段階で、インバランス料金の上限に当たる200円を記録しており、小売電気事業者には例年以上に厳しい夏になるかもしれない。

電気新聞2022年7月5日