日本経団連はこのほど、エネルギー政策に関する提言を公表した。国がエネルギー基本計画の見直し作業などを実施していることを受け、2030年に向けた論点としてまとめたもの。ベースロード電源として重要な原子力発電は、着実な再稼働を進めるとともに、運転期間60年への延長が望ましいと指摘。長期的な温暖化対策を考えると今後も一定規模の活用が不可欠として、リプレース・新増設を政府の施策に盛り込むことを求めた。再生可能エネルギーは、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)が需要家に過大な負担を課しているとして、2020年度までの抜本的な見直しを訴えた。

 提言では、安全性の確保を大前提に、安定供給、経済合理性、環境適合性(S+3E)のバランスが取れたエネルギー政策を実行することが必要と指摘。この実現には多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要とし、政府に30年度の電源構成(エネルギーミックス)の達成に向けた取り組みの強化を求めた。また海外と遜色ない価格でのエネルギー供給を目指すべきと訴えた。

 50年を見据えて政府が策定を目指す「長期温室効果ガス低排出戦略」も、S+3Eに立脚したエネルギー政策と整合的な戦略になることを期待するとした。

 電力システム改革は、需要家が電気料金の引き下げと電力安定供給の確保というメリットを得られることが重要だとした。

 FITは、エネルギーミックスと整合的な買い取り総額の設定を、制度見直しの方向性として例示。再生可能エネは、供給の不安定性や発電コストの高さといった課題について、産学官の総力を結集し解決に取り組む必要があるとした。

 提言では送配電網の在り方にも言及。整備コストの圧縮を志向しつつ、費用対便益を考慮しながら、必要な更新投資の促進を図るべきだとした。

電気新聞2017年11月15日付